最近、米が余り始め、価格が下落しているというニュースを目にするようになりました。米価高騰を受けて農家が増産したこと、そして輸入米の増加が主な要因とされています。
米の価格が上がれば増産に動く。
これは市場原理として当然のことであり、農家の判断として何ら不思議ではありません。
私は現在高齢者の仲間入りをしています。
年齢を重ねるにつれ、新しいことに挑戦する体力や気力が少しずつ衰えていく現実を、日々実感しています。農家の高齢化が深刻だと言われますが、それは決して数字の話ではなく、「現場で汗をかく人の体」の問題です。
高齢の農家にとって、増産の判断は簡単ではありません。
それでも価格が上がれば、「今のうちに少しでも作っておこう」と思うのは自然な心理でしょう。将来に大きな投資をする余裕がないからこそ、目の前の価格に反応せざるを得ないのではないでしょうか。

一方で、来年は世界的に小麦が豊作となり、価格の下落が見込まれています。パンや麺類が安くなれば、消費者はそちらへ流れ、米の消費はさらに落ち込む可能性があります。
そのしわ寄せが、体力も経営余力も限られた高齢農家に集中することが心配です。
こうした状況の中で、農林水産省が物価高騰対策で「お米券」の配布を盛んに宣伝していることを見ると、少し違和感を覚えます。
米価格が下がっている現実では、お米券は必要を感じません。一部自治体が取組んでいる米以外の食品などを購入できる商品券のようなものが、効果があると思います。
それと、食料安全保障は大切です。
しかしそれは、「高齢者にたよる」ことで成り立つものではないと思います。
需要と供給、国際市況、そして農家の年齢構成を冷静に見た上での、現実的な農政運営が求められていると感じます。
同じ高齢者の一人として、農家の皆さんに「もっと頑張れ」とはとても言えません。
だからこそ、行政にはマーケット感覚と現場感覚の両方を持った政策を期待したいと思います。
農業を守ることは、量を増やすことではなく、続けられる仕組みを作ること。
そう強く感じています。