19日、関西空港周辺の上空でドローンが確認されたため、約40分間全ての離着陸が停止されました。計39便に遅れが出たほか、関空に向かっていた2便が中部国際空港に着陸を余儀なくされています。
報道によると関空に到着する飛行機の乗員が目撃したようで、ドローンは2機だったとの情報があります。
ドローンは鳥と違って金属でできており、ジェットエンジンが吸い込むとブレードが確実に破壊され、大惨事につながるおそれがあります。
線路に置き石すれば刑法で処罰されますが、より危険性の伴う空港周辺でのドローンの飛行は航空法での処罰のみです。最高でも罰金50万円です。
このままでは、今後も同様の事件が繰り返されないか心配です。
空港周辺の飛行禁止空域
ドローンは、空港の周辺に設定されている進入表面、転移表面若しくは水平表面又は延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域での飛行は禁止されています。
進入表面等の解説はこちら
解説図はこちらになります。
上記図のとおり関西空港など大空港周辺の飛行禁止空域はかなり広くなっています。
航空法の罰則
空港の周辺空域でドローンを飛行させた場合は、航空法第157条の4で50万円以下の罰金に処せられます。懲役刑・禁固刑はなく罰金のみです。
(第157条の4) 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第132条の規定に違反して、無人航空機を飛行させた者
※132条に空港周辺の禁止空域の飛行禁止などが規定されています。
50万円以下の罰金というと、酒気帯び運転と同等です。
列車の往来妨害
一方、線路に石を置くなどして列車の走行に危険を生じさせた場合はどうなるでしょうか。
こちらは、刑法125条1項の往来危険罪が適用され2年以上の有期懲役に処せられます。非常に重い罪です。
(第125条1項)
鉄道若しくはその標識を損壊し、又はその他の方法により、汽車又は電車の往来の危険を生じさせた者は、2年以上の有期懲役に処する。
このその他の方法に置き石も含まれます。ちなみに、2年以上の有期懲役の罪にはどのようなものがあるかというと
非現住建造物等放火罪、水道毒物等混入罪、外国通貨偽造及び行使罪などがあります。
おわりに
以上みてきたように、ドローンの空港周辺禁止空域の飛行の処罰は鉄道の往来妨害と比べて非常に軽いものです。
ドローン愛好者としては、規制強化を決して望むものではありません。
しかしドローンは、その持つ危険性を理解して楽しむべきで、まして旅客機を危険にさらす行為は許されるものではありません。
刑法に規定されないように、ルールを守ってドローンを楽しみましょう。